私は最近、ステージ衣装を、日本のあるものを使って作っています。何だと思いますか?
それは、着物です。
そのアイデアが浮かんだのは今から3年ほど前です。
日本で売っているドレスのサイズがなかなか合わないので、以前は時間とお金をいっぱいかけて、私に合うステージ衣装を買っていました。 でもどんなに高級なドレスでも既製品ですから、同じドレスを着ている人に会うこともあるわけです。そんな時はすごくがっかりしました。
それから飽きるのも早く、処分せざるを得ませんでした。もったいない気持ちがいっぱいでしたけど、仕方ありません。
ある日銀座を歩いていると、着物を着た日本人をたくさん見かけました。
私は思いました。「なぜこれほどにまで、着物が人気なんだろう?」。しかもどの着物も同じような形なのに、柄はひとつとして同じものがない・・・
これは不思議でした!
一つ一つの作品が綺麗で、女らしくてエレガント。もちろん私もそうですが、外国の女性なら、日本に来たら一度は着物を着てみたいと思うのではないでしょうか。
ある時、呉服屋さんで歌う機会がありました。
せっかくのチャンス!とばかりにワクワクしながら試着させていただいたのですが・・・残念なことに鏡に映った私は、洋服を着ている時よりも体が大きく見えて、まるで富士山のようだったのです。
あーあ、着物は私に合わないんだ、と思ったら悲しくなりました。
それからしばらく着物の事は忘れていました。
そんなある日、原宿で古い着物のセールがありました。私が買える値段で、とても素敵な着物を見つけました。 その着物は結婚式に着る留袖というものです。
私はそこで、初めて着物を買ったのです!
家に帰ってから体に合わせていろいろ考えました。その時 、私の頭の中にあるデザインが浮かびました。
思い切って着物にハサミを入れ、私が考えたデザインにアレンジしました。
でも、このドレスを初めて日本人の前で着たときは、怖かった!
だって伝統ある留袖を、ドレスに作り替えてしまったんですから。正直、皆さんから怒られるかと思いました。
でも実際は、すごく喜んでくれたんです。それから私の着物に対する思い入れは、ますます強くなりました。
*着物ドレスの一部を、私のホームページでご覧になれます。ekaterinanouta.comから”OTHER WORKS”のページに移動してください。
「なぜ着物が好きなんですか?」と尋ねられたら、私はこう答えます。
・世界で一つしかない柄が多い。
・ファスナーが付いていないし、腕の動きが制約されない。
・冬暖かく、夏涼しい。
・ほどくと1枚の直線の布になるのでデザインしやすい。
毎日毎日どこにいても着物のデザインの事を考えています。でも今後、良いものが安く手に入らなくなるのではないかと、少し心配です。
ライブでは、いつもお手製の着物ドレスを着て演奏しています。スケジュールは私のホームページ(ekaterinanouta.com)から”Schedule”に移動してご確認下さい。皆さんの目で、直にご覧いただけたら嬉しいです。